Compiere Distributionの2面性

 Compiere Distributionを一言で表すと無料で使用できるオープンソース(OSS)のERPです。しかしこの表現は、Compiere Distributionの1つの側面しか表していません。Compiere Distributionにはもう1つの側面として"業務アプリケーションの開発基盤"という側面があります。

 ”無料で使用できるオープンソース(OSS)のERPが表の顔だとすると、"業務アプリケーションの開発基盤"というのは裏の顔になります。"業務アプリケーションの開発基盤"という裏の顔により、”無料で使用できるオープンソース(OSS)のERP”という表の顔が作られています。

 

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Compiere Distributionは無料で使用できるオープンソースのERP

 Compiere Distributionが"無料で使用できるオープンソースのERP"というだけでは、あまりにも漠然としているので、ここではいくつか特徴を紹介します。

 

Compiere -> ADempiere - > iDempiereと発展している。

 1999年にCompiere(コンピエール)がオープンソース(OSS)のERPとして、公開されてから、iDempiere(アイデンピエレ)に至るまで10年以上の開発期間を経ており、今もなお開発が続けられていれています。

 Compiere DistributionはオープンソースのERPとしては元祖ともいえる存在ですが、商用ERPと比較すると後発であるため、ERPとして拡張性に優れたシステムアーキタクチャになっています。特にiDempiereになりOSGiによるプラグイン方式による機能拡張が可能になったため、ERPから業務アプリケーションのプラットフォームとも言える存在に進化しています。

iDempiereの歴史
iDempiereの歴史

購買管理、在庫管理、販売管理、会計管理、生産管理、顧客管理など一連の業務機能が既に実装されている。

 オープンソースというだけで、機能的に不足しているのではないかと思われがちですが、Compiere Distributionでは、購買管理在庫管理販売管理会計管理(財務会計管理会計)、顧客管理の機能を中心として中小企業・中堅企業・大企業の子会社規模の会社であれば実務で使えるレベルに達していると言っても良いのではないかと思います。

iDempiereの業務機能全体像
iDempiereの業務機能全体像

中小企業・中堅企業・大企業の子会社・大企業の管理業務の一部などを主なターゲットとしている。

 Compiere(コンピエール)は、中小企業向けのERPとして開発されましたが、ADempiere(アデンピエレ)からiDempiere(アイデンピエレ)と発展している現在では、中小企業向けとは言わなくなっているようです。しかし、実際の所、SAPなどの有名商用ERPを導入している超大企業に対して代わりのERPとしてCompiere Distributionを導入するのはまだ厳しいというのが正直なところでしょう。標準機能としてあらかじめ備えている業務機能は有名商用ERPほど至れり尽くせりというわけでは無いですし、超大企業への導入実績という面でも全然足りません。

  しかし、業務が超大企業ほど複雑ではなく、使用人数やトランザクションデータもそれほど多くない中小企業・中堅企業・大企業の子会社規模の会社であれば、実務で使えるレベルに達していると思いますし、超大企業の基幹業務をすべてCompiere Distributionで運用するのはまだ現実的でないとしても、一部の業務管理にCompiere Distributionを活用するのは、充分検討に値するものと思います。

単体企業で導入できるのはもちろん、グループ企業(複数企業)でも導入できる。

 Compiere Distribuitonには「クライアント(Client)」、「組織(Organization)」、「取引組織(Transaction Organization)」、「倉庫(Warehouse)」、「保管場所(Locator)」などのシステムの枠組みを形作るマスタが存在します。これらのマスタをどのように定義するかで、Compiere Distributionは単体企業にも複数企業(グループ企業)にも導入する事ができるように考えられています。

 詳しくは"システムの枠組み"のページを参照して下さい。

iDempiereの枠組み
iDempiereの枠組み

世界中で使用されており、グローバル対応されている

 マルチ言語マルチ通貨などと言われるグローバルで活用するための機能をCompiere Distributionでは備えています。詳しくは"グローバル対応"のページを参照して下さい。

 Compiere(コンピエール)の頃はヨーロッパや北米を中心としたいわゆる先進国で導入されていましたが、ADempiere(アデンピエレ)になり東南アジアや南米などのいわゆる新興国でも活発に導入されるようになりました。iDempiere(アイデンピエレ)のコミュニティーにおいても新興国の開発者が多く参加しています。

iDempiereのグローバル対応①
iDempiereのグローバル対応①
iDempiereのグローバル対応②
iDempiereのグローバル対応②

クラウド環境でも利用できる

 Compiere Distiributionの多くはWeb-UIを備えているため、クラウド基盤上でも動作します。Web-UIは、Compiere Distribution毎に大きくデザインが異なります。

クラウドで活用する
クラウドで活用する

業務アプリケーションの開発基盤

 オープンソースとして世界中の人々が開発に参加するのは、有用性がありシステムアーキテクチャが優れている証拠でしょう!! Compiere Distributionは足りない機能があっても開発しやすいシステムアーキテクチャになっているので、比較的容易に工数も少なく開発する事ができます。詳しくは"開発手法概要"のページを参照して下さい。

iDempiereの開発手法概要
iDempiereの開発手法概要

 ERPにおいて、カスタマイズ手法は主に、コンフィグ設定(パラメータ設定だけで行えるカスタマイズ)、アドオン開発(標準機能のソースコードを修正する事無く追加開発し機能を拡張するカスタマイズ)、モディフィケーション(標準機能のソースコードを修正して行うカスタマイズ)の3つの手法が存在します。Compiere Distributionでは、この3つの手法を織り交ぜてカスタマイズを行います。

コンフィグ(パラメータ)設定によるカスタマイズ

 コンフィグ設定によるカスタマイズに関しては、Compiere Distributionではアプリケーション辞書(Application Dictionary)と呼ばれる概念を中心に行われます。ユーザーが操作する入力画面やレポート類などは、アプリケーション辞書のパラメータ設定だけで開発する事ができます。

アドオン開発によるカスタマイズ

 アドオン開発によるカスタマイズに関しては、オープンソースのERPでも、商用ERPでも同じように行われていると思いますが、Compiere Distributionではアプリケーション辞書とモデル駆動アーキテクチャにより、開発者はビジネスロジックに集中して開発すればよく、生産性高く開発する事ができます。

 そしてiDempiereになり、Eclipse 3.0以降でも採用されているOSGiの仕様を取り込んで動的にプラグインによる機能拡張ができるようになっています。業務アプリケーションパッケージでありながら、プラグインによる機能拡張ができるのが、iDempiereの大きな特長であり、他のERPと比較して秀でているところだと思います。

モディフィケーションによるカスタマイズ

 モディフィケーションによるカスタマイズは、商用ERPでは通常パッケージベンダーのサポート対象外とされてしまうため行わないと思います。しかし、オープンソースのERPでは、積極的にモディフィケーションを行い、コンフィグ設定やアドオン開発ではできない、かゆい所にも手が届く、ユーザー企業の業務によりフィットしたシステムを作る事も可能です。

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