返還等対価に係る消費税の調整処理

値引き、返品、割戻しなどを行った場合の税額の調整(売上げに係る対価の返還等)

[平成25年4月1日現在法令等]

 商品販売をした事業者がその取引を行った後に、売上値引きをしたり、売上割戻金や販売奨励金を支払ったり、売り上げた商品について返品を受けたこと等により売掛金の減額等を行う場合には、商品を販売した事業者は、これらの金額に対応する消費税額について調整する必要があります。

売上げに係る対価の返還等において消費税額を計算するのは、値引き、返品、割戻しなどの対象となった、取引がすべて同じ税率での商品やサービスであれば簡単ですが、取引の中には不可税取引や免税取引が含まれている可能性があり、そう簡単な話ではありません。例えば、軽減税率が適用された場合には、いわゆる出精値引きなどと言われる、取引全体に対して行う割引の中の消費税額を計算する事は理論上不可能でしょう。

ここでは、売上に係る対価の返還等をiDempiereではどのように管理し、消費税を申告すればよいのか、その一案を紹介します。

売上返品等の処理

iDempiereでは、通常売上返品等があった場合、売上請求伝票を使用して、伝票タイプに”クレジットメモ(割引)”を選択して処理するか、いわゆる赤伝を起票し処理しますので、返品等の金額はその分、売上高のマイナスになります。売上請求伝票は消費税額を計算して自動仕訳を記帳するため、返還等対価に係る税額の調整処理は基本的に行う必要はありません。

◆売上請求伝票でクレジットメモ(割引)の伝票タイプを使用する方法

クレジットメモ(割引)の伝票タイプを使用する事により、通常の売上請求伝票の反対仕訳を起票する事ができます。クレジットメモの伝票タイプは売上と債権の減額処理として、返品や値引き、割引に使用する事ができます。

 

◆売上請求伝票の金額をマイナスにする方法

売上請求伝票の金額をマイナスにする事により、売上と債権の減額をする事ができ、返品や値引き、割引に使用する事ができます。

【補足説明】数量のマイナスと単価のマイナスの違い

伝票の金額をマイナスにするには、”数量をマイナスにして単価をプラスにする方法”と”数量をプラスにして単価をマイナス”にする方法があります。数量をマイナスにするのは、主に返品の処理で行います。単価をマイナスにするのは、主に債権の値引きや割引の処理で行います。収益と債権の減額処理という意味ではどちらの処理も同じですが、データ分析の際にはその違いに意味があるので注意して下さい。

 

値引き等の処理

売掛金の請求を、得意先が振込手数料を差し引いて入金してくる事があります。この時の振込手数料相当額は実質得意先への値引きとして、売上返品等と同じように処理する方法と、入金伝票や出納帳で処理する方法があります。入金伝票や出納帳で処理する方法は自動仕訳により、値引きした金額が把握できるので、返還等対価に係る消費税額を計算し、消費税の申告時に調整する事になります。

◆入金伝票の「割引金額(Discount Amount)」フィールドを使用する方法

入金伝票の割引金額フィールドに金額を入力する事により、値引き等の処理を行う事ができます。

参考:JPIERE-0172:売上に係る対価の返還等に該当する入金伝票チェックリスト

売上に係る対価の返還等に該当する入金伝票チェックリストで、消費税の調整が必要となる取引や金額を把握し、申告時に調整します。

 

◆出納帳の「摘要科目金額(Charge Amount)」フィールドを使用する方法

出納帳を使用して、取引先が振込手数料分を差し引いて入金してきた場合に、iDempiereではその分を費用として処理する事ができます。そのような処理は実質的には値引き等の処理と同じです。

値引き、返品、割戻しなどを行った場合の税額の調整(仕入れに係る対価の返還等)

[平成25年4月1日現在法令等]

 商品を購入した事業者がその取引を行った後に、販売業者から仕入値引きを受けたり、仕入割戻金や販売奨励金の支払を受けたり、仕入れた商品について販売業者へ返品をしたこと等により買掛金の減額等を行う場合には、商品を購入した事業者は、これらの金額に対応する消費税額について調整する必要があります。

仕入れに係る対価の返還等において消費税額を計算するのは、値引き、返品、割戻しなどの対象となった取引がすべて同じ税率の商品やサービスであれば簡単ですが、取引の中には不可税取引や免税取引が含まれている可能性があり、そう簡単な話ではありません。例えば、軽減税率が適用された場合には、いわゆる出精値引きなどと言われる、取引全体に対して行う割引の消費税額を計算する事は理論上不可能でしょう。

ここでは、仕入に係る対価の返還等をiDempiereではどのように管理し、消費税を申告すればよいのか、その一案を紹介します。

仕入返品等の処理

iDempiereでは、通常仕入返品等があった場合、仕入請求伝票を使用して、伝票タイプに”クレジットメモ(割引)”を選択して処理するか、いわゆる赤伝を起票し処理しますので、仕入請求伝票は消費税額を計算して自動仕訳を記帳するため、返還等対価に係る税額の調整処理は基本的に行う必要はありません。

◆仕入請求伝票でクレジットメモ(割引)の伝票タイプを使用する方法

クレジットメモ(割引)の伝票タイプを使用する事により、通常の仕入請求伝票の反対仕訳を起票する事ができます。クレジットメモの伝票タイプは仕入仮勘定(もしくは費用)と債務の減額処理として、返品や値引き、割引に使用する事ができます。

 

◆仕入請求伝票の金額をマイナスにする方法

仕入請求伝票の金額をマイナスにする事により、仕入仮勘定(もしくは費用)と債務の減額をする事ができ、返品や値引き、割引に使用する事ができます。

 

値引き等の処理

買掛金の請求を、振込手数料を差し引いて行う事があります。この時の振込手数料相当額は実質買掛金の値引きとして、仕入返品等と同じように処理する方法と、支払伝票や出納帳で処理する方法があります。支払伝票や出納帳で処理する方法は自動仕訳により、値引きした金額が把握できるので、返還等対価に係る消費税額を計算し、消費税の申告時に調整する事になります。

◆支払伝票の「割引金額(Discount Amount)」フィールドを使用する方法

支払伝票の割引金額フィールドに金額を入力する事により、値引き等の処理を行う事ができます。

参考:JPIERE-0173:仕入に係る対価の返還等に該当する支払伝票チェックリスト

仕入に係る対価の返還等に該当する支払伝票チェックリストで、消費税の調整が必要となる取引や金額を把握し、申告時に調整します。

 

◆出納帳の「摘要科目金額(Charge Amount)」フィールドを使用する方法

出納帳を使用して、取引先が振込手数料分を差し引いて入金してきた場合に、iDempiereではその分を収益として処理する事ができます。そのような処理は実質的には値引き等の処理と同じです。