【はじめようJPiere】販売管理

JPiere / iDempiereの販売管理は、他のERPと同様に色々な業種・業界、業務で使用できるように汎用的に作られています。ここでは説明の便宜上、販売管理を得意先から注文を受けて、売上を計上し請求書を発行するまでとし、JPiere / iDempiereの販売管理機能の概要を説明します。 

【補足説明】学びはじめは受注管理から

iDempiereJPiereの業務機能への理解を深めるためのはじめの一歩は、販売管理の特に受注管理をオススメします。そしてiDempiereに用意されている標準機能については"iDempiere -> 標準業務機能 -> 販売管理"も合わせて参照して下さい。

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販売管理概要

iDempiereは”伝票(Document)”という概念を使用して各種業務を管理するシステムです。JPiereの販売管理では、iDempiere標準の”受注伝票”、”出荷納品伝票”、”売上請求伝票”に加えて、”まとめ請求書”、"見積伝票"、"売上計上伝票"を使用してより柔軟な販売管理システムを構築する事ができます。それぞれの伝票の役割や機能を理解して、JPiere/iDempiereを活用して下さい。

JPiereの販売管理で使用する伝票
JPiereの販売管理で使用する伝票

販売する品目の種類と伝票

JPiere/iDempiereの標準機能では、基本的に在庫管理する品目を“アイテム”、在庫管理しない品目を“サービス”、スケジュール管理(時間管理)する品目を“リソース”として管理し、販売する事ができます。

在庫管理するアイテムの品目は、出荷納品伝票を完成にした時に在庫が減るため、出荷納品伝票の作成は必須です。そして出荷納品伝票を作成するためには、受注伝票が必要になるため、受注伝票の作成も必須になります。

サービスやリソースは在庫管理をする必要が無いため、必ずしも受注伝票と出荷納品伝票を作成する必要はありません。

ひとつの伝票の明細に、アイテムやサービス、リソースの品目が混在するのは問題ありません。例えば、在庫管理するアイテムの品目を販売する際に、伝票全体に対する値引きをする時などは、”出精値引き”というような、サービスの品目マスタを登録し、割引金額をマイナス金額で登録して運用する事もできます。

返品処理

JPiere/iDempiereでは、得意先からの返品の処理方法として、次の2つが用意されています。

  • 伝票にマイナス数量を入力して処理する方法
  • 返品専用の伝票を使用して処理する方法

伝票にマイナス数量を入力して処理する方法

返品専用の伝票を使用して処理する方法

【ポイント】返品処理の運用方法を決定する

ここでは返品処理の方法が2つある事を説明しました。この2つの方法をどういった時に使い分けるのか、それとも返品処理はどちらか1つの方法に絞るのか、その運用方法を決める必要があります。

【ポイント】伝票は事実の通り入力し処理する事を基本とする

iDempiereは、色々な伝票を使用して業務を処理し管理するシステムです。iDempiereの使い方を学んでいる時は、イレギュラーなケースでどのように業務処理したらよいのか迷う事があると思います。その際の判断基準は、”事実の通り伝票を入力し処理する”という事です。

例えば、得意先から返品があった場合に、返品があったからといって出荷納品伝票を”ボイド(取消し)“処理してはいけません。一度、出荷し納品したのは事実であるため、その事実を取消してはいけないのです。出荷し納品したのは事実であるため、出荷納品伝票はそのまま”完成”の状態として、別途返品処理の伝票を起票するのが正しい処理です。

品目の価格について

JPiere/iDempiereの標準機能では、品目の価格は”プライスリスト”で管理します。プライスリストは目的に応じていくつでも作成できます。例えば、”定価のプライスリスト”や”バーゲン用のプライスリスト”などです。

プライスリストには、”バージョン”と呼ばれる日付の情報があり、一定期間の品目の価格を登録します。そしてその価格は受注伝票や売上請求伝票の作成時に初期値となり、伝票の入力時に上書き修正する事ができます。

プライスリストの役割

  • 取引通貨の決定
  • 税抜価格(外税)か税込価格(内税)かの決定
  • 割引限度額の制御
  • 販売もしくは購買する品目の制御

◆自動割引価格の設定

プライスリストの金額をもとに、取引先や販売数量に応じた自動割引を行う事ができます。自動割引といっても、あくまでも伝票入力時の初期値として設定されるだけですので、上書き修正する事ができます。

◆定率割引

プライスリストに設定されている金額から定率で割引する事ができます。例えば、卸売業などにおいて「定価の八掛けで卸します。」というような場合に使用する事ができます。取引先毎に割引率を設定する事ができます。

◆ボリュームディスカウント

販売数量に応じて、割引率を設定する事ができます。

JPiereドキュメント-販売管理概要

【補足説明】iDempiere & JPiere を活用したい方&学びたい方へ

iDempiereとJPiereはオープンソースのため、ソースコードを読んだり、インターネットに散見される情報を拾い集めて学習する事は可能ですが、それには膨大な時間と労力が必要です。そして、独学ではなかなか全体像が把握できず、木を見て森を見ず"という状態に陥りやすくiDempiereとJPiereを正しく理解し活用する事は困難でしょう。

そこでJPiereの母体となっている、iDempiereをよりよく知ってもらい上手に活用して欲しいという思いから、オープンソースのERP iDempiere(アイデンピエレ)を体系的に学べるトレーニング講座を用意していいます。iDempiereのトレーニングを受講して頂く事で、効率よくiDempiereを学ぶ事ができ、不用意なトラブルを未然に防ぐ事にもつながります。