税金情報(Tax Rate)マスタの設定

 税金情報マスタには、消費税を処理するために必要となる税率などの情報を設定します。iDempiere(アイデンピエレ)の標準機能では、消費税等の計算は、「発注伝票(Purchase Order)」と「受注伝票(Sales Order)」、「仕入請求伝票(AP Invoice)」、「売上請求伝票(AR Invoice)」で使用し、税額計算をするためのキー情報となります。

税金情報マスタウィンドウ

税金情報タブ

◆デフォルト(Default)

 デフォルトフラグがONの税金情報マスタは、伝票明細の税金情報フィールドに初期値として自動で設定される適切な税金情報マスタがなかった場合に使用されます。iDempiereの仕様としては、デフォルトフラグをONにできる税金情報マスタは税カテゴリ毎に1つだけです。

◆税カテゴリ(Tax Category)

 税金情報マスタを区分管理します。伝票明細で品目マスタもしくは料金タイプを選択したい際に、税金情報フィールドに自動で初期値を設定するキー情報の1つになります。

◆有効開始日(Valid from)

 税金の有効開始日です。伝票明細で品目マスタもしくは料金タイプを選択した際に、税金情報フィールドの自動で初期値を設定するキー情報の1つになります。基本的に伝票の日付より、有効開始日が過去の日付で、直近の税金情報マスタが自動初期設定値として選択されます。

◆税金免除(SO Tax exempt)

 取引先マスタの税金免除フラグ(SO Tax exempt)もしくは仕入税金免除フラグ(PO Tax exempt)と連動して動作します。伝票明細で品目マスタもしくは料金タイプを選択した際に、税金情報フィールドに自動で初期値を設定するキー情報の1つになります。

◆税金証明必要(Requires Tax Certificate)

 税金の免除にあたり証明書が必要な場合にONにします。標準機能では情報処理には使用されていないものと思われます。免税証明が必要な事を備忘するフラグです。

◆伝票レベル(Document Level)

 このフラグがONの場合は、税額計算を“伝票単位”で行います(伝票の合計金額をもとに税額を計算する処理イメージ)。このフラグがOFFの場合は、税額の計算を“明細単位”で行います(明細毎に税額を計算した後で合算する処理イメージ)。このフラグにより税額計算の方法が変わるので場合によっては税額が数円異なる事もあります。

◆営業税(Sales Tax)

 このフラグをONにすると仕入に係る消費税等の自動仕訳において、「仮払税金勘定(Tax Credit)」に代わって「租税公課勘定(Tax Expense)」が使用されます。

◆サマリレベル(Summary Level)

 このフラグをONにすると複数の税金情報マスタをまとめる「親となる税金情報(Parent Tax)」になります。

◆親になる税金情報(Parent Tax)

 複数の税金情報マスタを1つにまとめて税額計算を行いたい場合に、まとめる元となる「サマリレベルフラグ(Summary Level)」がONになっている税金情報を選択します。

◆売上/仕入区分(SO/PO Type)

 伝票明細で品目マスタもしくは料金タイプを選択した際に、税金情報を自動で初期値を設定するキー情報の1つになります。次の3つのリストから1つを選択します。

  • 売上のみ(S:Sales Tax)…この区分になっている税金情報マスタは発注伝票と仕入請求伝票では初期値としては設定されません。
  • 仕入のみ(P:Purchase)…この区分になっている税金情報マスタは受注伝票と売上請求伝票では初期値としては設定されません。
  • 共通(B:Both)

◆税テキスト(短)(Tax Indicator)

 レポートへ税金情報を表示するために使用する事を想定しているフィールドです。

◆レート(Rate)

 税率を設定します。例えば税率が5%の場合は"5.0"と設定します。

◆国(From)(Country)

 取引する国や地域により消費税等の税率が異なる場合に対応できるよう、消費税等の請求元となる国の情報を設定します。請求元の国や地域と請求先の国や地域を基準にして伝票明細の税金情報フィールド初期値を自動で設定するのに使用されます。

◆国(To)(To)

 取引する国や地域により消費税等の税率が異なる場合に対応できるよう、消費税等の請求先となる国の情報を設定します。請求元の国や地域と請求先の国や地域を基準にして伝票明細の税金情報フィールド初期値を自動で設定するのに使用されます。

◆地域(From)(Region)

 取引する国や地域により消費税等の税率が異なる場合に対応できるよう、消費税等の請求元となる地域の情報を設定します。請求元の国や地域と請求先の国や地域を基準にして伝票明細の税金情報フィールド初期値を自動で設定するのに使用されます。

◆地域(To)(To)

 取引する国や地域により消費税等の税率が異なる場合に対応できるよう、消費税等の請求先となる地域の情報を設定します。請求元の国や地域と請求先の国や地域を基準にして伝票明細の税金情報フィールド初期値を自動で設定するのに使用されます。

◆タックスプロバイダー(Tax Provider)

 タックスプロバイダーの仕組みを使用する事により、消費税等の計算処理を標準機能のソースコードを修正する事無く、独自の計算処理ロジックに切り替える事ができます。

【カスタマイズポイント】 消費税の端数処理

 iDempiereの標準機能では税額の計算における端数(1円未満)は四捨五入されます。そのため、切り捨て及び切り上げ処理を行いたい場合には、開発を伴うカスタマイズを行う必要があります。  その際に「タックスプロバイダー(Tax Provider)」の機能を使用すると既存のソースコードを修正せずに独自の税計算ロジックを組み込む事ができます。さらにタックスプロバイダーをプラグイン化すれば、システムを止めることなく独自の税計算ロジックを組み込む事ができます。

 参考:JPIERE-11 消費税の端数処理選択(JPiere Plugin Tax Provider)

税金ZIP情報タブ

 税金ZIP情報タブでは、ZIPコード(郵便番号)をキーとして使用する税金情報マスタが決定されるような場合に、ZIPコードを設定します。伝票明細で品目マスタもしくは料金タイプを選択した際に、ZIPコードをキーとして、税金情報フィールドに自動で初期値を設定するキー情報になります。

◆郵便番号(From)(ZIP)

 品目(商品・製品等)の送付側もしくは役務の提供側の郵便番号を入力します。

◆郵便番号(To)(ZIP To)

 品目(商品・製品等)の受け取り側もしくは役務の享受側の郵便番号を入力します。

会計情報タブ

 会計情報タブでは、消費税等の自動仕訳に使用する勘定科目を設定します。

◆仮受税金勘定(Tax Due)

 自動仕訳で、一般的に仮受消費税勘定として使用する勘定科目を設定します。

◆仮払税金勘定(Tax Credit)

 自動仕訳で、一般的に仮払消費税勘定として使用する勘定科目を設定します。

◆租税公課勘定(Tax Expense)

 仕入に係る消費税等の自動仕訳で仮払税金勘定を使用せずに費用処理する場合に、その勘定科目を設定します(※通常、日本では使用しません)。

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