【JPIERE-0543(v9)】仕訳帳に課税標準額と税額の追加

消費税の管理をより効果的に行うため、仕訳帳(Fact_Acctテーブル)に課税標準額と税額のフィールドを追加しました。この事により、【JPIERE-0484】仕訳帳ピボットなどを使用して仕訳帳のデータから消費税の入力が正しく行われているかどうか勘定科目毎に簡単に確認する事ができます。

目次

 

仕訳帳の税金情報フィールドグループ

税金情報フィールドグループ

課税標準額[JP_TaxBaseAmt]、税額[JP_TaxAmt]、売上仕入区分[JP_SOPOType]を追加し、もともとあった税金情報マスタ[C_Tax_ID]とまとめて、"税金情報"のフィールドグループとして表示しています。

仕訳帳
仕訳帳
税金情報フィールドグループ
税金情報フィールドグループ

仕訳帳に税金情報を引き継ぐロジック

JPiereにおいて、消費税の自動仕訳が記帳される伝票は、売上請求伝票、売上計上伝票、仕入請求伝票、仕入計上伝票、出納帳、振替仕訳伝票です。これらの伝票から自動仕訳が記帳される時に、税金情報も一緒に引き継がれます。

売上請求伝票

売上請求伝票から起票される自動仕訳の売上/仕入区分はすべて「売上げに係る消費税」がセットされます。

ベース伝票タイプが"ARI-売上請求伝票"の場合、仮受消費税勘定として使用する仮受税金勘定[T_Due_Acct]は、税額計算タブの課税標準額と税額の符号はそのままで自動仕訳に引き継ぎます。収益の勘定科目には、【JPIERE-0165】明細行毎の消費税の保持で計算した、売上請求伝票明細に保持している課税標準額と税額が符号はそのままに自動仕訳に引き継がれます。

ベース伝票タイプが"ARC-売上請求伝票(割引)"の場合、基本的な処理はベース伝票タイプが"ARI-売上請求伝票"と同じですが、課税標準額と税額の符号を反転して自動仕訳に引き継ぎます。これは、ベース伝票タイプの"JRC-売上請求伝票(割引)"は、売上の減額として処理されるからです。

どちらのベース伝票タイプでも得意先債権勘定[C_Receivable_Acct]の仕訳情報には、税金情報は引き継がれません!これは、債権の勘定科目は消費税の計算には関係ないからです。

売上計上伝票

売上計上伝票から起票される自動仕訳の売上/仕入区分はすべて「売上げに係る消費税」がセットされます。

ベース伝票タイプが"JPR-売上計上伝票"の場合、売上請求伝票で計上する消費税の仮受税金勘定[T_Due_Acct]は、税額計算タブの課税標準額と税額の符号を反転して自動仕訳に引き継ぎます。この事により、売上請求伝票で記帳される仕訳と相殺消去されます。そして相手勘定科目となる消費税の勘定科目[JP_TaxDue_Acct]は、税額計算タブの課税標準額と税額の符号はそのままで自動仕訳に引き継ぎます。収益の勘定科目は明細に保持している課税標準額と税額が自動仕訳に引き継がれます。

ベース伝票タイプが"JPS-売上計上伝票(割引)"の場合、売上請求伝票で計上する消費税の勘定科目[T_Due_Acct]は、税額計算タブの課税標準額と税額の符号はそのまま自動仕訳に引き継ぎます。この事により、売上請求伝票で記帳される仕訳と相殺消去されます。そして相手勘定科目となる消費税の勘定科目[JP_TaxDue_Acct]は、税額計算タブの課税標準額と税額の符号を反転して自動仕訳に引き継ぎます。収益の勘定科目は明細に保持している課税標準額と税額が自動仕訳に引き継がれます。

仕入請求伝票

仕入請求伝票から起票される自動仕訳の売上/仕入区分はすべて「仕入れ等に係る消費税」がセットされます。

ベース伝票タイプが"API-仕入請求伝票"の場合、仮払消費税勘定として使用する仮払税金勘定[T_Credit_Acct]もしくは租税公課勘定[T_Expense_Acct]は、税額計算タブの課税標準額と税額の符号はそのままで自動仕訳に引き継ぎます。費用や仕入の勘定科目には、【JPIERE-0165】明細行毎の消費税の保持で計算した、仕入請求伝票明細に保持している課税標準額と税額が符号はそのままに自動仕訳に引き継がれます。

ベース伝票タイプが"APC-仕入請求伝票(割引)"の場合、基本的な処理はベース伝票タイプが"API-仕入請求伝票"と同じですが、課税標準額と税額の符号を反転して自動仕訳に引き継ぎます。これは、ベース伝票タイプの"APC-仕入請求伝票(割引)"は、仕入/費用の減額として処理されるからです。

どちらのベース伝票タイプでも仕入先債権勘定[V_Liability_Acct]の仕訳情報には、税金情報は引き継がれません!これは、債務の勘定科目は消費税の計算には関係ないからです。

仕入計上伝票

仕入計上伝票から起票される自動仕訳の売上/仕入区分はすべて「仕入れ等に係る消費税」がセットされます。

ベース伝票タイプが"JPX-仕入計上伝票"の場合、仕入請求伝票で計上する消費税の勘定科目[T_Credit_Acct]もしくは[T_Expense_Acct]は、税額計算タブの課税標準額と税額の符号を反転して自動仕訳に引き継ぎます。この事により、仕入請求伝票で記帳される仕訳と相殺消去されます。そして相手勘定科目となる消費税の勘定科目[JP_TaxCredit_Acct]もしくは[JP_TaxExpense_Acct]は、税額計算タブの課税標準額と税額の符号はそのままで自動仕訳に引き継ぎます。この事により、仕入計上伝票で計上した収益科目の課税標準額と税額が残ります。

ベース伝票タイプが"JPY-仕入計上伝票(割引)"の場合、仕入請求伝票で計上する消費税の勘定科目[T_Credit_Acct]もしくは[T_Expense_Acct]は、税額計算タブの課税標準額と税額の符号はそのまま自動仕訳に引き継ぎます。この事により、仕入請求伝票で記帳される仕訳と相殺消去されます。その相手勘定科目となる消費税の勘定科目[JP_TaxCredit_Acct]もしくは[JP_TaxExpense_Acct]は、税額計算タブの課税標準額と税額の符号は反転して自動仕訳に引き継ぎます。

出納帳

出納帳明細の摘要科目金額が0円以外で、消費税の自動計算が行われる時に、税金情報が自動仕訳に引き継がれます。詳しくは、【JPIERE-0012】出納帳(Bank Statement)での消費税計算 を参照して下さい。

振替仕訳伝票

振替仕訳伝票から仕訳に税金情報を引き継ぐロジックについては、【JPIERE-0544(v9)】振替仕訳伝票での消費税の自動計算 を参照して下さい。

仕訳帳に引き継いだ課税標準額や税額などの税金情報を分析&集計するためにオススメの自動仕訳の設定や注意事項!!

iDempiereの自動仕訳の設定は、会計スキーマなどに、いくつかのオプション的な設定があります。そのオプション的な設定の中には、仕訳帳に引き継いだ課税標準額や税額などの税金情報を分析&集計するのに、あまりそぐわない設定がありますので、仕訳帳に引き継いだ課税標準額や税額を分析&集計したい場合には気を付けて下さい。

会計スキーマの割引転記はOFFがおススメ!!

割引転記をONにすると、割引額を含めて総額で仕訳が記帳されるので、割引額を差し引いた純額で計算する課税標準額と税額とは、仕訳帳で確認する際には、金額に関連性が無くなってしまいますので、注意して下さい。

会計スキーマ
会計スキーマ

◆例:会計スキーマの割引転記をONにして、売上請求伝票で、税抜1,000円の品目Aを200円割引するように入力して完成にし、転記します。

売上請求伝票明細
売上請求伝票明細

会計スキーマの割引転記をONにすると、下記のように売上が総額で計上され、割引している分の金額も仕訳に反映されます。

仕訳
仕訳

この時に、売上げを計上している仕訳に引き継がれている税金情報としては、総額の売上から割引額を差し引いた純額に対して計算された課税標準額や税額になります。そのため、この情報がだけみた場合、売上として仕訳に総額計上されていると金額と、純額で計算した課税標準額や税額に関連性がありません。

売上の仕訳情報
売上の仕訳情報
割引の仕訳情報
割引の仕訳情報
仮受消費税の仕訳情報
仮受消費税の仕訳情報

 

伝票レベルの税金情報マスタを使用した場合、実際に仕訳で起票される仮受消費税もしくは仮払消費税の金額と、仕訳帳の収益科目や費用科目に引き継がれる課税上標準額と税額の数値が端数処理の関係で数円ズレる場合があります。

iDempiereの消費税計算は、伝票レベルでの計算と明細レベルでの計算のどちらで行うか税金情報マスタで設定します。

収益や費用の科目の場合、仕訳帳に引き継ぐ税金情報は基本的に【JPIERE-0165】明細行毎の消費税額の保持とIJPiereTaxProvider で計算した明細毎の課税標準額や税額になりますので、伝票レベルで計算した、仮受消費税や仮払消費税の金額と端数処理の関係で数円ズレる可能性があります。

 このことにより、消費税はすべて明細レベルで計算すべきと言っているわけではありませんので誤解しないで下さい。仕訳帳に引き継がれる税金情報は、あくまでも参考情報として、伝票レベルで計算した消費税額とズレることを前提として分析&集計する分には十分に利用価値のある情報だと思います。

 消費税の申告に使用する情報は、仮受消費税及び仮払消費税に計上された金額をもととして、その金額が正しく処理されていることを確認するために、誤入力が無いことの”間違い探し”をするのに使う分には何も問題ないのではないかと思います。

 【JPIERE-0484】仕訳帳ピボット を使用すると、色々な分析軸で消費税情報を集計する事ができるので、はじめは集計したデータを確認して、そこで怪しい情報を発見したら集計対象となった仕訳にドリルダウンできますので、間違い探しを行うのは容易です。

カスタマイズ情報

Fact_Acctテーブルに追加したカラム

  • 売上/仕入区分[JP_SOPOType]
  • 課税標準額[JP_TaxBaseAmt]
  • 税額[JP_TaxAmt]

追加したリスト

◆JP_SOPOType

  • 仕入れ等に係る消費税[P: Purchase Tax]
  • 売上に係る消費税[S: Sales Tax]
  • 消費税自動計算対象外 [N: Auto Tax Calculation not applicable]

追加したフィールドグループ

◆税金情報 (Tax Info) [Collapse]

このカスタマイズに伴い修正したカスタマイズ

【JPIERE-0544(v9)】振替仕訳伝票での消費税の自動計算

振替仕訳伝票で消費税の自動計算を行った場合、税金情報マスタ、課税標準額、税額、売上/仕入区分の情報を仕訳帳に引き継ぎます。

【JPIERE-0484】仕訳帳ピボット

Fact_Acctテーブルにカラムが追加された事に伴い、Fact_Acct_JP_Vにも下記のカラムを追加しました。

  • 売上/仕入区分[JP_SOPOType]
  • 課税標準額[JP_TaxBaseAmt]
  • 税額[JP_TaxAmt]

【JPIERE-0364】契約管理と計上伝票による費用収益の認識と連結会計への応用

売上/仕入計上伝票で計算した課税標準額と税額等を仕訳帳に引き継げるように修正しました。

【JPIERE-0363】契約管理

売上/仕入請求伝票で計算した課税標準額と税額を仕訳帳に引き継げるように修正。

【JPIERE-0012】出納帳(Bank Statement)での消費税計算

出納帳明細[C_BankStatementLineテーブル]に売上/仕入区分[JP_SOPOTypeカラム]をつかして、消費税の仕訳の勘定科目を制御できるようにしました。そして、課税標準額や税額の情報を自動仕訳に引継げるようにしました。