通常、ERPを導入している場合、見積書や請求書はERPにあるデータを活用して印刷しますが、それとは別にエクセルやワードなど融通が利くオフィスソフトを使用して、見積書や請求書を作成している営業の方も少なくないと思います。
その理由のひとつに、ERPから出力される見積書や請求書は、業務管理用のデータをもとに出力するため、得意先に渡すのに適した文章表現ができない(融通が利かない)という事があると思います。
例えば、見積書上は"一式"と記述したいけど、ERP上は、後続処理(受注→出荷→請求)のため、その"一式"を構成する商品やサービスを細かく入力する必要があり、ERPから出力される見積書には、"一式"とまとめて表示する事ができないなど…。
オープンソースのERP iDempiereがまさに上記の例のような事が苦手であり、特に一式を構成する商品やサービスがその都度違いマスタ化できない場合などは、エクセルやワードなどオフィスソフトを使用して、営業の方が別途"見積書"を作成し運用でカバーするようなことも止む無し…というところでした。
しかし、できればiDempiereから出力できた方が、得意先に提示した内容もiDempiereに残るので、業務管理上より好ましいと思います。
そこで、JPiereでは、JPiereオリジナルの見積伝票の機能を拡張し、見積書に限らず、取引先に渡す各種証票類の明細を自由に手入力し、手書の伝票のように作成できるようにしました。
見積伝票に手書伝票としての機能を拡張!!
これまでの見積伝票は、受注伝票を作成する前提で、各種データ入力を制御していましたが、手書伝票の機能を追加するために、受注伝票の作成を前提としないデータ入力を可能にしました(具体的には受注伝票の伝票タイプの入力を任意にしました)。
受注伝票の作成を前提としないようにすると、見積伝票は業務とは切り離された伝票として、自由になんでも明細入力する事ができます。この伝票に入力したデータをもとに、見積書だけでなく、注文請書や納品書、請求書など色々な証票を自由に作成する事ができるため、"手書伝票"と呼ぶことにしました。
手書伝票の機能拡張に伴う見積伝票の変更点
◆受注伝票の伝票タイプの入力を任意とする
このために別途、受注伝票の伝票タイプを入力する、JP_DocType_IDカラムを追加しました。
◆手書伝票のもととなる伝票がわかるように、各種伝票のカラムを追加
このために下記のカラムを追加しました。
- C_Invoice_ID
- M_InOut_ID
- M_RMA_ID
更新履歴
2019年6月7日
取引先住所(手書)フィールドの自動入力において、取引先の住所情報(C_Location)で住所1(Address1)と住所2(Address2)のフィールドに入力がされていないと"nullnull"となるのを、空欄のままにしておくように修正しました。
2017年3月8日
◆取引先の情報(名称、住所、担当者名)をテキストで自由に入力できるように改修しました。
このためにJP_Estimationテーブルに下記のカラムを追加しました。
- JP_BP_Name(取引先名称)
- JP_BP_Address(取引先住所)
- JP_BP_User_Name(取引先担当者)
そして、下記のカラムの必須入力を任意入力に修正しました。
- JP_Estimation.C_BPartner_ID
- JP_Estimation.C_BPartner_Location_ID
- JP_EstimationLine.C_BPartner_Location_ID