iDempiere(アイデンピエレ)の会計管理(財務会計と管理会計)

オープンソースのERP iDempiereの会計管理の機能について調査及び研究しその成果をまとめています。

iDempiereセミナー

会計管理概要

iDempiereはERPですので、販売管理や購買管理、在庫管理と一緒に会計管理(財務会計/管理会計)の機能を利用する事ができます。iDempiereの使い方は自由ですが、企業としてはERPとしてロジスティクス系の機能とともに会計系の機能も合わせて使用する事が一番メリットがあるでしょう。

そしてもちろんiDempiereは会計専用のシステムとして活用する事もできます。その場合、iDempiereの利用形態としては、会計管理の機能だけを使用する方法と、会計管理の機能に加えて販売管理と購買管理の一部の機能も使用して、五伝票制の伝票会計的に使用する方法があります。

会計管理の機能だけでも一般的な会計システムとして運用していく事はできますが、販売管理の売上(請求)伝票や入金伝票、購買管理の仕入(請求)伝票や支払伝票(出金伝票)等を使用する事により、会計モジュールだけの運用より、債権/債務の消込管理などが行え、管理レベルが向上します。

五伝票制の伝票会計的な利用方法イメージ
五伝票制の伝票会計的な利用方法イメージ

iDempiereの会計管理機能の特徴

リアルタイム記帳&リアルタイム損益

iDempiereでは各種取引伝票の伝票ステータスを完成にすると、自動的に総勘定元帳に仕訳が転記されます。「会計レポート(Financial Report)」では、仕訳を集計してリアルタイムで損益管理ができます。

リアルタイムの記帳や損益管理はiDempiereだけでなく、ERPと呼ばれるシステム全般の特長ともいえますが、オープンソースのERP iDempiereでも当然のように実現しています。

リアルタイム記帳とリアルタイム損益管理のイメージ
リアルタイム記帳とリアルタイム損益管理のイメージ

複数の会計基準への対応(複数の会計帳簿)

海外(特に米国)では、それぞれの会計基準に応じた会計帳簿を作成し業務を行っています。米国では財務会計用の会計帳簿と税務会計用の会計帳簿、管理会計用の会計帳簿の3つを使い分けています。そのような会計管理に対応できるようにiDempiereでは複数の会計帳簿を作成する事ができるようになっています。日本では通常、1つの会計帳簿を使用して財務会計も税務会計も管理会計も業務を行っているので、この機能を活用するケースはあまりないように思われがちですが、今後IFRSが適用となる企業グループにおいては、国内用の会計帳簿とIFRS用の会計帳簿と2つの会計帳簿が必要になるため、活用するケースも出てくるでしょう。

複数の会計帳簿の活用イメージ
複数の会計帳簿の活用イメージ

会計帳簿の追加設定

サポーターズコンテンツ + トレーニングコンテンツ(AB02:会計管理)

クライアントを新規で作成する際に初期設定として用意される会計帳簿は1つです。会計帳簿を複数用意する際に必要となる設定について調査及び研究し、その成果をまとめています。

パワーユーザー向けのレポート作成機能:会計レポート

iDempiereには、仕訳のデータをもとに財務部・経理部のパワーユーザーが簡単にレポートを作成する事ができる「会計レポート(Financial Reports)」という機能があります。レポートを作成できる対象のデータが仕訳データのみという制約がありますが、経理部のパワーユーザーであれば、1~2時間程度の研修時間で、”貸借対照表”や”損益計算書”、多次元分析のキューブ(Cube)を活用した管理会計レポート(多次元分析レポート)を作成できるようになります。

◆多次元分析レポートの分析軸

  • 組織
  • 取引組織
  • 品目
  • 取引先
  • プロジェクト
  • キャンペーン
  • 販売地域
  • アクティビティ
  • ユーザー定義1
  • ユーザー定義2

◆予算/実績対比

 会計レポートでは、予め予算を登録しておく事により、予実対比のレポートを作成する事ができます。予算は複数バージョン作ることができます。

iDempiereの消費税処理は、世界中の消費税に類似した税金(付加価値税や営業税、売上税など)も考慮して設計されています。日本の消費税も今後どのようになるか不透明感が拭えませんが、世界中の消費税に類似した税金が処理できるように設計されているiDempiereであれば、柔軟に対応できると思われます。

多通貨対応

◆iDempiereには170を超える世界中の通貨が登録されており、レート登録を行えばすぐに外貨取引が行えます。

◆複数のレート登録が可能であり、標準機能としてスポットレート/平均レート/期末レート/社内レートが用意されており、追加する事もできます。

◆仕訳データには会計通貨(機能通貨)と取引通貨の2種類の通貨情報を保持します。

配賦

iDempiereには費用などを予め設定してある割合に応じて配賦する機能があります。機能的にはシンプルな機能ですが、この機能をもとにカスタマイズする事により、導入企業の要件にあう配賦機能を作ることができます。

ワークフローとの統合

iDempiereのワークフローエンジンを活用し、GL仕訳伝票などに承認のワークフローを構築する事もできます。

会計管理でのワークフローの活用イメージ
会計管理でのワークフローの活用イメージ

会計管理業務メニュー

▼会計管理(Performance Analysis)

▼会計設定(Accounting Rules)

会計セットアップフロー(Accounting Setup)

会計カレンダー(Calendar Year and Period)

勘定科目エレメント(Account Element)

会計ディメンション(Accounting Dimensions)

会計スキーマ(Accounting Schema)

・・・・・・・・・

▼会計レポート(Financial Reporting)

レポート行セット(Report Line Set)

レポート列セット(Report Column Set)

レポート作成階層(Reporting Hierarchy)

レポートキューブ(Report Cube)

キューブ再計算(Recalculate Cube)

会計レポート(Financial Report)

勘定科目レポート(Statement of Accounts)

総勘定元帳(Trial Balance)

▼原価管理(Costing)

原価タイプ(Cost Type)

原価要素(Cost Element)

品目原価(Product Costs)

原価レポート作成(Create Costing Records)

品目原価更新(Standard Cost Update)

品目原価合計レポート(Product Cost Summary)

品目原価レポート(Product Cost)

品目原価詳細レポート(Product Cost Detail)

振替伝票(GL Journal)

まとめ振替伝票(GL Journal Batch)

・・・・・・・・・

会計管理に関係するJPiereジェイピエール)のカスタマイズ一覧

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ERP アカウンティング アカデミー

ERP アカウンティング アカデミーは、オープンソースのERP iDempiere(アイデンピエレ)を題材にして、会計とERPを学ぶサイトです。

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