Ubuntu24.04LTSにiDempiere/JPiere11をインストールする

Ubuntu24.04LTS(2029年4月頃までのサポート)にiDempiere11もしくはJPiere11をインストール(デプロイ)する方法について調査及び研究し、その成果をまとめています。

基本的な流れは、他のLinuxディストリビューションでも同じになります。

【補足説明】

このコンテンツの記載内容は、AWSとGCE(Googleのクラウド)のUbuntu24.04LTSのインスタンスを使用して検証しています。

OpenJDKのインストール

iDempiere11とJPiere11は、Java17以上で動作するように開発されています。そのためJava17もしくはJava21あたりのOpenJDKを使用することをオススメします。

開発自体はJava17を使用して開発していますので、Java17を使用するのが最も問題なく動作する環境と言えるかなとは思いますが、Java自体は基本的に下位互換してくれているので、Java21でも正常に動作すると思います。

◆OpenJDK17のインストール

OpenJDK17を使用する場合、下記のコンテンツを参考にインストールして下さい。下記のコンテンツはUbuntu20.04と22.04を対象に記載していますが、Ubuntu24.04でも同様の方法でインストールできると思います。

◆OpenJDK21のインストール

OpenJDK21を使用する場合、下記のコンテンツを参考にインストールして下さい。

unzipのインストール

iDempiereのインストールパッケージやPostgreSQLのダンプファイルがZIP圧縮さているので、解凍するためにインストールします。

sudo apt-get install wget unzip

PostgreSQLのインストールと初期設定

iDempiere11で使用しているPostgreSQLのドライバーは42.7.1です。このドライバーに対応しているPostgreSQLを使用して下さい。 

JPiere11をインストールする場合、JPiere11のPostgreSQLのダンプファイルはPostgreSQL14から取得していますので、PostgreSQL14もしくはPostgreSQL15を推奨いたします。

◆PostgreSQL14のインストール

◆PostgreSQL15のインストール

【PostgreSQL-0024】Ubuntu24.04LTSにPostgreSQL15をインストールする

※PostgreSQL15を使用する場合、下記のエラーが報告されてiDempiere12で修正になっていますので、必要であれば個別にパッチをあてて下さい。

エラーの内容は振替仕訳伝票のインポートプロセス(ImportGLJournal.java)をPostgreSQL15で使用するとエラーになるというものです。このエラーは振替仕訳伝票のインポートプロセスを使用しないのであれば無視して大丈夫です。振替仕訳伝票インポートをしたい場合には、JPiereのカスタマイズでも振替仕訳伝票のインポートプロセス(【JPIERE-0407】振替仕訳伝票インポート)を用意していますので、こちらを利用しても良いかと思います。

iDempiere or JPiereのダウンロード

iDempiereをインストールしたい場合は、iDempiereのインストールパッケージをダウンロードして下さい。JPiereをインストールしたい場合は、JPiereのインストールパッケージをダウンロードして下さい。

iDempiereのダウンロード

iDempiereのインストールパッケージはSourceForgeで公開されています。

iDempiereコミュニティーが用意しているインストールパッケージは、バージョンアップしたタイミングのインストールパッケージと、日々ビルドされているインストールパッケージが用意されています。

このコンテンツを作成している2025年4月30日時点ではiDempiere ver11のメンテナンスは終了し、2025年3月10日時点のインストールパッケージが最もよくメンテナンスされている状態のバージョンとなっています。そのため動作検証したい方は、daily-serverからインストールパッケージをダウンロードして試すのをオススメします。

Path : Files > v11 >daily-server

  • idempiereServer11Daily.gtk.linux.x86_64.zip
ソースフォージ
ソースフォージ

JPiereのダウンロード

JPiereのインストールパッケージはSourceForgeで公開しています。

◆SourceForge: https://sourceforge.net/projects/jpiere/

Filesタブをクリックして、「jpiere11-final」フォルダ内にJPiere11のインストールパッケージがあります。

Linuxにインストールする場合は下記のファイルをダウンロードして下さい。

  • JPiereServer11.gtk.linux.x86_64.zip … JPiere10のインストールパッケージ
  • ExpDat.jar … JPiereのPostgreSQLのダンプファイル

【注意】JPiereのインストールパッケージには、iDempiereも含まれています。

JPiereは、iDempiereを日本商慣習対応させるためのプラグイン群ですが、SourceForgeで配布しているJPiereのインストールパッケージは、iDempiereも含めたシステム全体として配布しています。そのため、JPiereをインストールするのに、予めiDempiereをインストールしておくような事は不要です。

【補足説明】本番環境にはソースコードからビルドしたインストールパッケージを使用して下さい。

iDempiereのインストールパッケージもJPiereのインストールパッケージも、公開されているインストールパッケージは検証用です。本番環境で使用する際には、ソースコードからビルドしたインストールパッケージを使用して下さい。そしてビルドしたソースコードはGitHubなどに大切に保管しておいて下さい。

iDempiere11/JPiere11のインストール(デプロイ)

ダウンロードしたiDempiere11もしくはJPiere11のインストールします。

インストールするデイレクトリは「/opt」の中を想定しています。「/opt」にインストールパッケージを配置できるように権限を変更して下さい。

sudo chmod 777 /opt/

ここからは「/opt/」配下に、インストールパッケージが置いてある想定で説明します。

Zipファイルの解凍

◆iDempiereの場合

iDempiereの場合は、idempiereServer11Daily.gtk.linux.x86_64.zipの中に、iDempiereのサーバーデイレクトリとダンプファイルの両方が入っています。そのためまずは、idempiereServer11Daily.gtk.linux.x86_64.zipを解凍します。

  • idempiereServer11Daily.gtk.linux.x86_64.zip -> idempiere.gtk.linux.x86_64ディレクトリ

sudo unzip idempiereServer11Daily.gtk.linux.x86_64.zip

解凍したidempiere.gtk.linux.x86_64ディレクトリの中に、idempiere-serverディレクトリ(以下、%idempiere-server%)があり、このディレクトリがiDempiereの本体となります。

解凍するとディレクトリ階層がかなり深くなるので、少し浅い所に移動しておきます。

 下記のコマンドは%idempiere%を 「/opt/」に移動させる例です。

sudo cp -r idempiere.gtk.linux.x86_64/idempiere-server/ /opt/

 

◆JPiereの場合

JPiereの場合は、JPiereServer11.Linux.x86_64.zipを解凍すると、JPiereサーバーデイレクトリ(以下、%jpiere-server%)になります。また、ダウンロードしたExpDat.jarを解凍すると、PostgreSQLのダンプファイルになります。

  • JPiereServer11.Linux.x86_64.zip -> jpiere-serverデイレクトリ
  • ExpDat.jar  -> ExpDat.dmpファイル

sudo unzip JPiereServer11.Linux.x86_64.zip

sudo unzip ExpDat.jar

PostgreSQLのダンプファイルのリストア

iDempiereとJPiereではリストアするダンプファイルは異なりますので注意して下さい。

◆iDempiereのダンプファイルのリストア

iDempiereのPostgreSQLのダンプファイルは、%idempiere-server%/data/seedデイレクトリにあるAdempiere_pg.jarファイルです。Adempiere_pg.jarファイルをZip解凍します。

sudo unzip Adempiere_pg.jar

解凍すると、Adempiere_pg.dmpファイルになります。このファイルをPostgreSQLにリストアます。

psql -d idempiere -U adempiere -f Adempiere_pg.dmp

 

◆JPiereのダンプファイルのリストア

JPiereのPostgreSQLのダンプファイルは、iDempiereのダンプファイルとは異なりますので気を付けて下さい。SoruceForgeからJPiereのインストールパッケージと一緒にダウンロードしたダンプファイルを使って下さい。

psql -d idempiere -U adempiere -f ExpDat.dmp

【注意】JPiereのインストールにはAdempiere_pg.jarは使用しない!!

JPiereのインストールパッケージと一緒にダウンロードした、ExpDat.jarを解凍してリストアして下さい!!

iDempiere/JPiereの初期セットアップ

ここからは、iDempiereもJPiereも同じ手順です。

◆idempiereファイルの権限をゆるくする

idempiere-server(※jpiere-server)ディレクトリの直下にあるidempiereファイルの権限をゆるくしないと、初期セットアップがパーミッションエラーになるので、ゆるくしておきます。

sudo chmod 777 idempiere

 

◆console-setup.shの実行

console-setup.shを実行して、初期セットアップを行います。

sudo sh console-setup.sh

  • Java Home [**********] ※自動入力(Default)
  • Java Options [-Xms64M -Xmx512M] ※必要に応じて修正。意味がわからない人はとりあえずデフォルトでOK。
  • iDempiere Home [**********] ※自動入力(Default)

【SSLの設定】

  • Key Store Password [myPassword] ※自動入力(Default)
  • (ON) Common Name [root] ※自動入力(Default)
  • (OU) Organization Unit [iDempiereUser] ※自動入力(Default)
  • (O) Organization [root] ※自動入力(Default)
  • (L) Local/Town [MyTown] ※自動入力(Default)
  • (s) State []
  • (c) Country(2 Char) [US] ※手入力 [JP] でも可

 

【アプリケーションサーバーの設定】

  • Application server host Name [AWSの場合は"ホスト名のタイプ"にある"IP名"、GCEの場合はインスタンスの"名前"]
  • Application Server Web Port [80] 
  • Application Server SSL Port  [443]
AWSの場合は"ホスト名のタイプ"にある"IP名"
AWSの場合は"ホスト名のタイプ"にある"IP名"

【データベースサーバーの設定】

  • DB Already Exists? (Y/N)   [Y]
  • Database Type  [2] ※PostgreSQL
  • Database Server Host name  [localhost] ※自動入力(Default)
  • Database Server Port  [5432] ※自動入力(Default)
  • Database Name  [idempiere] ※自動入力(Default)
  • Database user  [adempiere] ※自動入力(Default)
  • Database password  [adempiere] ※自動入力(Default)
  • Database System User Password   [] ※postgresユーザーのパスワード

 

【メールサーバーの設定】

  • Mail Server Host Name  [localhost] ※自動入力(Default)
  • Mail User Login  []
  • Mail User Password  []
  • Administrator Email  []
  • Save changes (Y/N)  [Y]

 

【補足説明】console-setup.shの実行が上手くいかない時には…

console-setup.shの実行が上手く行かない時には、console-setup-alt.shを実行して、初期セットアップを行ってみて下さい。

sudo sh console-setup-alt.sh

iDempiereの起動

sudo sh idempiere-server.sh &

上記のコマンドもしくは下記のコマンドで起動させてみて下さい。

sudo nohup ./idempiere-server.sh &

 「sudo sh idempiere-server.sh &」で起動した場合、コンソール上に起動シーケンスが表示されたり、エラー等のメッセージが表示されますので、サーバーの状況を確認するのに便利かなと思います。しかし一方で、コンソールを閉じるとiDempiereも強制終了となるようです。

sudo nohup ./idempiere-server.sh &」で起動した場合、コンソール上にメッセージは表示されませんが、コンソールを閉じてもiDempiereは強制終了とならず動いています。エラーメッセージ等はログで確認できます。

どちらかの起動コマンドを実行すると、概ね30秒~1分程度でiDempiereサーバーが立ち上がりますのでWebブラウザで下記のURLにアクセスしてみて下さい。 

◆https://IPアドレス or ドメイン名/

https(SSL/TLS)を使用してアクセスする際に、サーバー証明書がないと下記のような警告メッセージが表示されますが、検証環境であれば気にせずに「詳細設定」等を押してアクセスして下さい。下記のイメージはChromeのもので、ブラウザによって表示は異なります。

※警告画面はサーバー証明書が適切に設定されれば表示されなくなります。

ブラウザの警告表示画面
ブラウザの警告表示画面

 

iDempiereのトップ画面が表示されたら「Login」アイコンをクリックして下さい。

iDempiereのトップ画面でログインアイコンを押すと、ログイン画面に遷移します。

◆iDempiere11のログイン画面

スーパーユーザーのログイン情報

  • User: SuperUser
  • Password: System

 

◆JPiere11のログイン画面

ログイン画面
ログイン画面

スーパーユーザーのログイン情報

  • User: superuser@oss-erp.co.jp
  • Password: System

【補足説明】ログイン情報

JPiereのログイン情報は、【はじめようJPiere】共通基本操作 > ログインを参照して下さい。

 

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日本語環境にする

上記までの手順でiDempiereの起動はできますが、PDFのレポートを表示した時に日本語が□(とーふ)状態で表示されてしましますので、下記を参照して対応して下さい。

とーふ状態のPDFレポート
とーふ状態のPDFレポート

sudo wget https://www.ubuntulinux.jp/ubuntu-jp-ppa-keyring.gpg -P /etc/apt/trusted.gpg.d/

sudo wget https://www.ubuntulinux.jp/ubuntu-ja-archive-keyring.gpg -P /etc/apt/trusted.gpg.d/

sudo wget https://www.ubuntulinux.jp/sources.list.d/mantic.list -O /etc/apt/sources.list.d/ubuntu-ja.list

sudo apt update

sudo apt-get upgrade

sudo apt-get install ubuntu-defaults-ja

上記コマンドを実行したらいったんUbuntuごと再起動をするのをオススメします。